トムラウシ山(2141m)
新ルート調査登山

登山日 2003年10月8日
ルート トムラウシ温泉短縮コース〜トムラウシ公園
(新ルート確認登山なので途中まで)
天候
気温 0℃〜5℃
アクセス 清水・新得から車で約1時間30分。
国道274号・道々133号から、屈足・岩松・トムラウシ温泉の標識に従って走行。屈足からは道なりまっすぐ。
ヌプントムラウシ温泉や十勝岳新得コースの分岐になっている「曙橋」から先は、ダート(約10キロ)。
MAP
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林道〜登山口 登山道
車中泊  トムラウシ温泉公共駐車場
温泉  トムラウシ温泉東大雪荘
備考 バイオトイレが使用可能なら、短縮コース登山口駐車場でも車中泊は可能。通常6月中旬〜9月。
登り コースタイム 下り
6時30分
出発
短縮コース登山口 16時10分
下山
0.20 - 0.15
短縮コース・温泉コース
分岐
0.45 - 0.40
カムイ天上
新道分岐
1.30
新道区間
位置確認・写真撮影などで
時間がかかってます。
普通に歩けば、登り下りとも
20分程度短いでしょう。
1.35
カムイサンケナイ川
新道分岐
0.10 - 0.10
コマドリ沢取付
1.00 - 0.45
前トム平
0.25 - 0.15
11時30分 トムラウシ公園
手前ピーク
(1810m)
11時40分
4.10 歩行合計 3.40
0.50 休憩 0.50
5.00 合計(休憩含む) 4.30

10月に入ると、林道がいつ雪で閉ざされても不思議は無い。トムラウシも今回が今年のラストチャンスだったが、幸い好天に恵まれて楽しい調査登山になった。
短縮口のバイオトイレが閉まってるかもしれないと思い、トムラウシ温泉の駐車場で眠る。正解だった。朝、短縮コース登山口に移動したら既にバイオトイレは閉鎖。駐車場はガラーンとしいて、入山したのは我が家だけだった。
トムラウシ温泉公共駐車場
右の建物がトイレ
中央の奥が「東大雪荘」
短縮コース駐車場のバイオトイレ
6月中旬〜9月使用可能
2004年は6月中旬から
登山口
登山届の記帳所
携帯トイレ配付ボックス
新道告知のパンフ
登山口から少し入ると、
旧登山口の駐車場を通る
ここで左折
登山口から200mほど進むと、以前は登山口だった小さな広場に出る。道はここで左に折れる。
笹に囲まれた登山道は、緩やかに尾根を登っていく。やがて、トムラウシ温泉からの登山道に合流し右折。下りのとき、分岐を見落とさないように注意が必要だ。
短縮コース分岐の標識 下りのときは要注意
道なり真っ直ぐ…トムラウシ温泉
左折…短縮登山口
いよいよ本格的な登りになる。
針葉樹林からダケカンバに変わると視界も開けてくる。笹の中の登山道は融雪水や雨水の通り道になっていて、カムイ天上が近づくと、ぬかるんでいることが多い。
針葉樹林の尾根を登る
視界が開けると、カムイ天上は近い
   ◆新道区間へ
付け替え区間 ルート図 登山口と分岐には新道告知のパンフがある
そこには、このような説明書きが・・・
カムイ天上からカムイサンケナイ川までのトラバースは、雪融けや降雨直後は酷いぬかるみになり、登山者を苦しめてきました。特に下山では、アップダウンの登り返しが続いて、体力を使い果たした登山者にとっては本当に大変だったと思います。
沢沿いに歩く区間も改善の必要が迫られていました。雪融けの時期は増水した沢と雪渓。大雨のときは登山道が水没し、危険な渡渉の繰り返しでした。そこに百名山ブームで初心者の中高年登山者が殺到。結果、遭難事故がたて続けに発生してしました。
そんな経緯もあって、登山道の付け替えの話が急速に具体化したものと思いますが、実際の新ルートは果たして?
では、ご案内しますが、、、その前に…。
こちらの記録もご覧いただくと、新道がこのルートになった理由が分かるかもしれません。我が家の春山の記録です。
 2002年5月13〜15日トムラウシ山行(南沼テント泊)

ルート変更の動機になったと思われる遭難事故
 2001年・増水した沢に転落死亡
 2002年・台風で2名死亡
…沢の増水が原因ではないが、生存者が危険な状況で下山。
カムイ天上
木々の隙間からトムラウシも見える
カムイ天上を過ぎると、新道・旧道の分岐がある。
旧道は立入禁止だ。
新道・旧道の分岐には立派な標識が立っていた。立入禁止の旧道はそのうち廃道になるだろう。
新ルートはここで左に曲がり、ほぼ尾根に沿って進むことになる。笹は見事に刈り払われ、車が通れるほどの広さで続いている。写真では軽快な登山道に見えるかもしれないが、実際は大変だった。原因は刈り払われた笹だ。切り口が靴に引っ掛かかって歩きにくいこと・・・。登山靴も傷だらけになってしまった。落ち着くまでにはしばらくかかるだろう。
ルートはやがて尾根上から南斜面へと我々を導き、絶景を見せてくれることになる。
前方にはオプタテシケ山を先頭に十勝連峰、振り返れば石狩連峰と名峰ニペソツ山が・・・。旧道のときは、前トム平に上がるまで見ることができなかった景色が、そこにはあった。これだけでも新道の好感度は高いだろう。
刈り払われた笹尾根を進む
笹刈り用のテープが延々と続く
尾根の南斜面に出ると
正面には新雪の十勝連峰
振り返ればニペソツ山
しかし、笹の切り口は手強い(泣)
笹刈りのミスか、、、突然、ロープで通行止。右に曲がった笹刈りルートは、南の展望に別れを告げ、尾根を跨いで北斜面へと向かう。やがて正面には目指すトムラウシが・・・この演出は、なかなかのものだ。
これでピンクテープが少なければ完璧だった。何しろテープを入れずに写真を撮るのは至難の業で、笹刈り用誘導テープや笹刈り後の目印テープが、これでもかと現れる。ここまで凄いのは初めての経験だ。たまに高い木の枝にも付いているが、それは春山用のもの。この辺りから、新道は積雪期の春山コースを基本に付けられているらしいことが分かってくる。
刈り払われた道に進入禁止の
ロープが・・・ここで右折
正面にはトムラウシが見えてくる 尾根の北側に出ると
沢の下りに向け、トラバースが始まる
尾根北側の斜面に出ると徐々にトラバースになるが、旧道のようなアップダウンは無い。途中、ロープで区切られた沢地形を通過する。おそらく雪融け後はお花畑になるだろう。
そこを過ぎると、いよいよ急斜面の下りだ。最初はジグザクに進むが、沢に降り立つ直前は斜度がきつく、ロープが張られていた。下りになってからは泥濘も目立つようになり、雨のときは少し難儀をするかもしれない。
ロープで区切られた沢地形を
越えると、下りになる
ジグザクに下り始める 徐々に斜度がきつくなる
ロープ登場 ぬかるんでいると辛いかも 降り立ったあとは沢沿いに進む
沢に降り立ったら、右に沢を見ながら進む。やがて新道・旧道の分岐に出る。以前は、右岸左岸と渡渉の繰り返しだったが、それをさせまいと旧道は立入禁止になっていた。なるほど・・・。
300mほど歩くとカムイサンケナイ川の源頭部、コマドリ沢の取り付きに出る。ここまでの区間、確かに渡渉は無いが、登山道は沢のすぐ脇を歩くようになっている。右は沢、左は急斜面の藪、登山道は沢よりもほんの少し高いだけだ。これで果たして、増水のときに歩けるのだろうか?
沢の渡渉を繰り返す旧道は立入禁止 道は沢を右に見ながら進む
増水したとき、果たしてこの登山道は歩けるのか?
沢が二股になったら、新道唯一の渡渉によりコマドリ沢に取付くが、普通はほとんど靴を濡らさずに渡ることができる。急登に備え、ここで休む登山者も多い。
唯一の渡渉?で、コマドリ沢へ
通常の水量なら靴を濡らすことも無い
コマドリ沢に取付くと、前トム平まで急登が続く
この辺りは7月まで雪渓が残る
さて、これで新道の紹介は終わりですが、果たして旧道の問題点は解消されたのか?
@アップダウンを繰り返すトラバース区間は無くなり、ジグザグの急登と尾根歩きになりました。これは正解でしょう。下山の時も一気に尾根まで登ってしまえば、あとは緩やかな下りだけ。距離は700m長くなったが、体はこちらの方が楽だと思います(疲れ知らずの健脚の人は、旧道の方が時間が掛からず、楽かも・・・)。
A増水による遭難事故の防止効果については、何ともわかりません。
沢の渡渉が完全に無くなったわけでなく、沢沿いに歩く箇所も数百メートル残っています。源頭部だし距離も短いので、雨量によっては通過できるかもしれません。ただ、過去の遭難事故の時のような集中豪雨では、やはり厳しいのではないかと・・・。
大雨の時の沢の状態を知らない私が言えることは、増水した沢には近づかない。増水が予想される場合は山行を中止する。当たり前のことだけです。
さて、普通の山登りの再開です。
コマドリ沢を詰めて前トム平を目指す。7月までは長い雪渓歩きになるところだ。ロックガーデンが近づくとナキウサギの鳴き声も聞こえてきた。
途中でロックガーデンを横断し、右のハイマツ帯に入る。初夏なら綺麗なお花畑の登りだが、冬の気配が漂う道には花一輪も無い。後は背中に見えてくる十勝連峰の展望を楽しみに、急登に挑む。
登山道は沢の右側斜面に
付けられている
ロックガーデン
左側を登り、途中で右に横断
岩にはペンキで目印が・・・
ハイマツ帯に入り
ロックガーデンを振り返る
登り切ると、尾根越しに
十勝連峰が見えてくる
前トム平
錆びた標識があるだけ
下りでは方角を間違えないように
前トム平はケルンと錆びたポールがあるだけで、ハッキリした標識は無い。下りは注意が必要だ。視界が悪くて別の沢に下ってしまった遭難例もある。
登山道は左にカーブしてハイマツ帯を登っていく。ケルンが積まれた岩れき帯を越え、ロックガーデンをひと登りすれば、眼下にはトムラウシ公園、その背後にはトムラウシ山が雄姿を現す。新雪が深くなり岩れき帯では少し難儀した。この辺りが限度かな。。。
前トム平からハイマツ帯へ 新雪の岩れき帯を進む ロックガーデンを通過
トムラウシ山 背後には十勝連峰
本日はここまで。下りはナキウサギと遊んだり、目に余るピンクテープを外しながら、ゆっくり下る。
16時10分、無事下山。入山届に下山時刻を書こうと思ったら、あらら、用紙が撤去されていた。森林管理署も冬支度に忙しいのかな。。。
トムラウシ温泉で汗を流し、途中の道の駅「日高」で車中泊。札幌帰還は翌朝だった。

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