芦別岳(1726.9m)



2002年6月26日 コース 旧道登山口〜ユーフレ小屋分岐〜北尾根上〜山頂〜半面山〜新道登山口
コース
タイム
標準
登山時間
わが家の登山時間
9時間40分 11時間20分

休憩 1時間40分
合計 13時間
車中泊 山部自然公園太陽の里キャンプ場
(5/上〜10/末 無料)
登山口への
アクセス
富良野から国道38号を帯広方向へ約15キロ。山部地区の「太陽の里キャンプ場」の看板で右折。真っ直ぐ進めば一番奥が登山口のキャンプ場(国道から約3キロ)。札幌からは150キロ。
山部の国道沿いに、セブンイレブンがある。
温泉 富良野方面の温泉が一番近い。
関連情報 車中泊温泉情報 夕張(1)
旧道登山口 登山口まで歩く場合はキャンプ場駐車場の横の階段を登り、「ふれあいの家」の先にある林道を入って行く。登山届のBOXは林道入口にあり、奥の旧道登山口には無い。登山口まで林道歩き30分。
車で行く場合は、キャンプ場の外の道路から「ふれあいの家」に向い林道に入る。旧道登山口には数台分の駐車スペース有り。
新道登山口 キャンプ場前の道路を少し南に進めば道路沿いにあり、登山届のBOXもそこにある。
今回の
コースタイム
(休憩を除く)
登り 旧道登山口〜(1.15)〜ユーフレ小屋分岐〜(1.55)〜夫婦岩分岐〜(1.00)〜
北尾根上〜(1.00)〜1453mピーク〜(3.00)〜山頂 合計8時間10分(休憩を除く)
下り 山頂〜(1.05)〜半面山〜(0.35)〜鶯谷分岐〜(1.30)〜新道登山口 合計3時間10分(休憩を除く)
旧道登山の
アドバイス
最初から飛ばし過ぎて後半バテないよう、ペース配分を考えて登ること。
@「旧道登山口〜ユーフレ小屋分岐」までは、沢の高巻きによるアップダウンが多くて高度を稼がない割には体力を消耗する。
A「ユーフレ小屋分岐〜北尾根」区間は、風が通り抜けない中を高度差にして700m以上登らなければならず、さらに東斜面のため最初から日当たりが良くて暑い。気温が低い時期は別だが、体力の消耗や熱射病を防ぐため水分摂取の休憩がマメに必要である。
B尾根に出たあと、1453mのピークから先は細い稜線のキレットを通る。強風時は慎重な歩行が必要である(特に初心者)。
C旧道尾根や新道の山頂直下に雪渓が残っている時期(7/上旬頃まで)は要注意。状況次第ではアイゼン、ピッケル、ザイル等の装備が必要。
D登山口から山頂までの標高差は1300m余りだが、「北尾根上〜山頂」はアップダウンが激しく実際の獲得標高差は相当多い。北尾根に出るまでに体力を使い切ると、尾根のアップダウンやキレットの通過が辛く、時間もかかる。

※「旧道登山口〜山頂」の我が家のデータ
(登りのみで休憩時間含む)・・・のんびり無体力のため、どの山でも標準タイムの1〜2割増しで歩く我が家です。技術・体力・経験を備えている方、急いで登って平気な方の参考にはなりません。
 ・1996年9月11日〜7時間10分
 ・2000年7月11日〜熱射病の兆候が出たため北尾根上で引き返す(当日の旭川の最高気温29度)
 ・今回〜9時間

その他として、
暑い時期の旧道は飲料水として一人2リットル以上必要。
ヒグマの痕跡が多い山なので、鈴等の鳴り物は絶対必要。
ユーフレ小屋分岐前後は登山道を見失わないよう慎重な行動を。
旧道を初めて歩く方は、単独登山は避けたほうが無難。
山行
メンバー
FHMLどさんこ隊・・・我が家としんのすけさんの計3名。
車が2台なので旧道登山口まで1台で移動し、下山後回収。
6月25日
21:20 札幌出発。
しんのすけさんとはキャンプ場で合流だが、朝早いのでそれぞれが勝手に就寝し翌朝ご挨拶という打ち合わせ。
6月26日
0:00 山部自然公園「太陽の里キャンプ場」着。
キャンパーに迷惑をかけないよう「新道登山口」に近い道路沿いの駐車場で車中泊。
後から聞いた話・・・22時30分頃に先着したしんのすけさんは、初めてのキャンプ場で興奮したのか? 0時ごろまで夜のキャンプ場を散策したらしい。気持ちはわかるけど、明日のためにちゃんと寝なきゃ〜ネ(笑)。
3:30 起床。
しんのすけさんのテントを訪ねてご挨拶。2月の札幌オフ会以来のご対面だ。積もる話は山ほどあるが、今日の山行のハードさを考え急いで仕度開始。車を「旧道登山口」に近いキャンプ場駐車場に移動する。トイレはここの方がキレイだ。
しんのすけさんの車で「旧道登山口」に移動開始。林道入口で登山届を書き旧道登山口へ車を走らす。お陰で林道歩き30分が短縮されて嬉しい。今日はどさんこ隊が一番乗りだ。
予定は旧道登り8時間・新道下り4時間で17時下山が目標。
キャンプ場の駐車場
5:10 出発。快晴、気温4℃。
大小の高巻きを繰り返しながらユーフレ川沿いに進む。アップダウンや鎖場があるが慎重に歩けば危険と思われる箇所はない。先頭はしんのすけさん、次いでかっちゃん、最後尾が私だ。
ユーフレ小屋分岐手前の三段の滝の下で休憩15分。朝日が射して滝には虹が・・・綺麗だったが、いよいよ暑くなるぞと気を引き締める。ここから先は登山道を間違えないように少し注意が必要。
沢沿いに進む

所々にはロープや鎖場が

滝の休憩ポイント
道を間違えやすいので注意
滝の標識

鉄製の梯子を登ると分岐

ユーフレ小屋分岐
直進すると小屋、旧道は右折
6:40 ユーフレ小屋分岐を右折。
右に沢を見ながら登る。背中から初夏の陽射しが容赦なく照り付けて暑い。やがて先行していた二人がヒグマの足跡を発見。小さいので子供のクマのようだが、まだ新しい・・・気をつけねば。鈴をステッキの紐に結び付けガンガン鳴らしながら歩く。
夫婦岩が見え始めた頃、50代の男性(単独)に抜かれる。どさんこ隊とは違って足取りが軽やかだ。
暑い沢地形の登り 夫婦岩
実は今回、写真を全く撮れなくなる可能性があった。沢水で火照った顔を冷やそうと屈んだときデジカメを落としてしまったのだ。少し濡れただけだったのだがハイテク機器は水に弱い。電源を入れてもウンともスンとも言わなくなってしまった。仕方なく記憶媒体だけ取り出し、しんのすけさんのカメラを借りてしばし撮影。その後は、「一眼レフも持ってくればよかった。また余分な出費になるなぁ〜。」などと考えつつ、諦めきれずにカメラを触りながらトボトボ歩いていたのだが・・・しばらくして突然、見事復活!さすがにデジカメさんも暑かったようで、あっという間に乾いてしまったらしい。でもしんのすけさんの申し出には感謝・・・夫婦岩の写真が撮れました。
8:35 夫婦岩分岐。
暑くて汗が滝のように流れる。この後の行程を考え痛くならないうちにと太腿に湿布を貼ったが、これで少し楽に・・・。登山道にはシラネアオイなどの花が目立つようになり気も紛れる。かっちゃんとしんのすけさんは、まだまだ元気な様子。途中休憩15分。
9:50 北尾根上。気温20℃。
ようやく尾根に出て風が心地良い。眼下には富良野の街並みが見え、その奥には十勝連峰と表大雪の山並がクッキリ! 空気が澄んでいて最高の展望だ。反対の北西側に目を移せば崕(きりぎし)山も見える。
※崕(きりぎし)山・・・標高1066mの石灰岩で形成された山。キリギシソウやホテイアツモリなどの貴重な高山植物が自生しているが、登山者の増加と大規模盗掘により荒廃が進んだ。そのため入山禁止(1999年から5年間)の措置がとられ植生の回復を試みている。
この尾根を登れば山頂が見えてくる 表大雪と十勝連峰(北東) 崕(きりぎし)山・・・左の岩山
規模は小さいが雪渓を数ヶ所登る。数日続いた低温のためカチンカチンでキックが全く効かない。アイゼンを着けるほどの距離ではないのでなんとかそのまま登ったが、滑るので時間を食ってしまった。
苦労しながら一段高い尾根に出ると、目に飛び込んできたのは素晴らしい景色だった。槍のような芦別岳はやっぱりカッコイイ! 同時に辿り着くまでの道のりも見えて少し不安に・・・。
こんな雪渓が数ヶ所

芦別岳山頂
拡大写真
拡大写真
尾根に咲いてたシラネアオイ・・・左の白花は特に美しかった
10:50 1453mピーク。休憩20分
さぁ〜て、いよいよキレット通過だ。高所恐怖症と言うよりは「危険箇所なら何でも恐怖症」の私だが、前回歩いた時もそんなに恐かったという記憶がない。今日は微風だしたぶん大丈夫だろうと歩を進める。所々に危険箇所はあるが両手も使って慎重に歩けば何てことはない。ここに比べれば知床硫黄山の方がもっと恐かったような・・・。そんなことより足の疲労の方が重大。太腿がピクピクしてきて高い段差が辛い。ゆっくり歩いてきたつもりだったが疲労が蓄積しているようだ。幸い登山道脇の狭い急斜面には花がいっぱいだったので、観察と撮影も兼ねてさらにスピードを落とす。
花畑に後押しされてキレットを通過。後は山頂直下の登りだが岩場を慎重に歩いて到着!!
  <キレット通過から山頂まで>
拡大写真 拡大写真 拡大写真
拡大写真 拡大写真 拡大写真
14:10 山頂着
やっと辿り着きました〜!
達成感より安堵感、、、
本来ならゆっくりしたいところだが、下りのことを考えるとそうもいかない。写真を撮って、食事をして、そして肝心な・・・ダメージを受けている足腰のメンテナンス。それぞれが湿布やサポーターを取り出して忙しい。
準備万端でいざ下山!
14:35 新道コースで下山開始。
実は一番心配していたのが、新道の山頂直下の雪渓だった。急斜面に張り付いた雪渓を下らなければならず、アイゼンもこのために持ってきたようなものだ。恐る々々下ると・・・出てました! 登山道が雪渓の端にクッキリ見えていてホッと一安心。これで後は一気に下るだけだ。
小さかった山頂直下の雪渓
拡大写真
半面山へ下る

ヒグマの落し物(新道)

15:40 半面山。休憩15分
ここからは長くて単調な尾根歩きが続く。樹林帯の暑い登山道・・・疲労がたまってペースが上がらない三人は、口数も少ない。
16:30 鶯谷分岐
途中休憩10分
日が傾いて太陽も背中の芦別岳に隠れてしまったが、登山道はまだ明るい。ヘッドランプは持ってきたが、何とかお世話にならずに済みそうで良かった。やがてキャンプ場の建物が間近に見えるようになり、ヘロヘロどさんこ隊は少し元気を取り戻して歩く。
18:10 新道登山口に下山。
さすがに13時間はバテた〜! 日帰り登山時間としては、オプタテシケ往復を抜いて我が家の新記録になってしまった。
時間が遅いので反省会もそこそこに、我が家の車でしんのすけさんの車を回収に向かう。林道入口で下山届を書いたが、どさんこ隊を追い抜いた男性の記録は無かった。ハードな旧道を単独で登るのだったら絶対届けるべきだと思うのだが・・・。他にもう一名入山の記録があったが、ユーフレ川上流(たぶん小屋分岐の手前)で登山道がわからず撤退と書かれていた。
旧道登山口に到着し即解散。この時間では恒例の「温泉で祝杯」も無し。しんのすけさんは真っ直ぐ自宅へ。我が家は帰る途中の芦別温泉で汗を流し、札幌帰還は午前0時だった。
しんのすけさん、お疲れ様でした〜!! 次回は足手まといにならないよう頑張ります。
芦別岳の花畑を見るのはタイミングが非常に難しく、今回は本当にラッキーだった。
危険な雪渓は融けたばかりで、花の開花に間に合って、天候にも恵まれて・・・と。
もう二度とこんな好条件で登ることはできないだろう。いや・・・体力がどんどん落ちて登ることすらできないかもしれない。
芦別岳の花(一部)
ツクモグサ 拡大写真 エゾルリソウ 拡大写真 エゾヒメクワガタ
ミヤマキンバイ ショウジョウバカマ コケモモ
ハクサンチドリ ミヤマオダマキ イワウメ


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