トムラウシ山(2141m)

2003年9月にトムラウシ温泉コースが新ルートになりました。
ここでご紹介する春山ルートが新道のコースになったようです。
今回見かけた調査登山隊は、そのための調査だったのかもしれません。


2002年5月13〜15日 コース 短縮コース(林道)登山口〜カムイ天上〜トムラウシ南沼(2泊)〜トムラウシ
(天候悪化でヒサゴ沼行きは断念)
※下山も同コース
コース
タイム
標準登山時間 わが家の登山時間
登り 6時間10分
下り 4時間10分
登り 7時間30分

休憩 1時間30分
下り 5時間

休憩 1時間40分
合計 9時間 合計 6時間40分
車中泊 トムラウシ短縮コース登山口駐車場
登山口への
アクセス
清水市街・新得市街からトムラウシ温泉まで約1時間30分。短縮コース登山口まではプラス20分。
国道274号・道々133号から、屈足・岩松・トムラウシ温泉の標識に従って行けば着きます。屈足からは道なりまっすぐで、トムラウシ温泉まで何キロの標識が時々出てきます。沼の原登山口(ヌプントムラウシ)分岐の曙橋からトムラウシ温泉まではダート10キロ。奥の短縮コース登山口まではさらにダート8キロ。
温泉  トムラウシ温泉 国民宿舎東大雪荘
関連情報  登山データ トムラウシ温泉
5月12日
22:20 札幌出発。
最近は狩勝峠を通ることが多かったが、芽室町の24時間GSで給油のため久々に日勝峠を利用した。ヘアピンカーブに加え大型車も多いので嫌だなぁ〜と思っていたところ、今回はもっと困ったことがあった。峠の道に入ったら道路脇に食事中のエゾシカが次々に出現!危なくてスピードが全然出せない。中には前を横切るのもいてヒヤヒヤの運転だったが、そんな状況でも意に介せずガンガン飛ばす車もいて、案の定はねられて横たわっているエゾシカも見てしまった。暗〜い気分・・・。
5月13日
3:30 トムラウシ温泉着。札幌より270キロ。
さあトイレに行って寝ようと思ったら・・・ん? トイレのシャッターが閉まっている。GW明けなら利用可能と思っていたのだが、甘かった。トイレが開いていなければここで寝る意味が無いので、短縮コース登山口へ移動。
もちろん短縮コース登山口にもトイレは無い。今年から設置予定のバイオトイレも6月からだ。(後で登山道で一緒になった調査登山隊から、トムラウシ温泉のトイレは今日の午前中から、短縮コース登山口のバイオトイレは6月中旬から利用できるとの話を聞いた)
7:00 起床。
登山口には我が家だけ。5月に登る人はほとんどいないので予想通りだったが、登山届のノートを見たら前日にも一人入山していて、届け出上は我が家が2番目だった。駐車場に雪は無し。
当初の予定は二日目に南沼からヒサゴ沼に移動し泊まる予定だったが、南沼キャンプ地に二泊し、ヒサゴ沼は日帰りでピストンに変更。ヒサゴ沼にも泊まりたかったが、寝不足等も考慮して疲れない行程に変えた。
8:00 出発。くもり時々晴れ。気温10℃。
木々もまだ新緑にはほど遠く、枝越しには山々も見渡せる。雲は多いがまずまずの天気で歩き始める。登山道には早くも残雪が・・・山開き前のトムラウシ入山は4回目だが、さすが5月。雪融けが早いとはいえ、今までで一番残雪の多い時期の山行になりそうだ。
短縮コース駐車場 登山口 旧登山口を通過
8:30 トムラウシ温泉からの登山道と合流。
徐々に残雪が増えてきて急登後の1150mあたりからは完全な雪渓歩き。テープと地形図を頼りに歩を進める。
やがて後ろから鈴と賑やかな声が聞こえてきた。てっきり入山は我が家だけと思っていたので少々驚いたが、話をしたら新得町の調査登山隊(8名)だった。登山道をチェックしながら春山用のテープをつけているとのことで、軽装の彼らはあっという間に見えなくなった。団体のトレースのお陰でウロウロすることも無く楽チン山行に。
(途中休憩15分)
トムラウシ温泉からの
登山道と合流
針葉樹林帯の尾根を歩く

急登が終わると夏道は姿を消し・・・
(標高1150m) 
10:00 カムイ天上。気温5℃。
(休憩15分)
カムイ天上は予想通り一面の雪原だった。北西にトムラウシ、西にはニペソツ山をはじめとする東大雪の山々がクッキリ見える。雪の無い時期は木々に展望を遮られてタダの通過点だが、今日はまさしく天上にいる気分。
カムイ天上
正面尾根の雪渓を進む
雪渓の端には
カムイ天上の夏道登山道
カムイ天上

雪渓の端にはカムイ天上の夏道登山道も見えてはいるが、少し進めばまた雪渓にもぐりこんでしまう。この時期は登山道を無視して尾根の春山ルートで歩くのがベストだ。
先行する調査登山隊のトレースも我が家の進む方向と同じだったので、再び利用させていただくことに・・・。所々には真新しいピンクのテープもあり、悩むことなく歩けてラッキーだった。前回歩いた時は尾根を30分ほど進んだところで沢へトラバースしながら下ったのだが、調査登山隊のトレースは延々と尾根を高度を上げながら進んでいる。少し変だなと思ったが地元の方のトレース・・・きっと残雪が多いときのルートなのだろう信じ後を追う。やがて休憩中の登山隊に追いついたが、「ここから先は急斜面で沢に下りるには適さない」とのこと。やはり沢に下るタイミングが遅かったようで、我が家は渋々後戻り・・・傾斜の緩い斜面を選んで一気に沢を目指す。
下り立った沢は源頭部まで数分の位置だった。振り返れば登山隊も後を追ってきて、結局我が家が下った箇所にテープをつけ尾根に戻って行った。思えば調査登山隊の尾根ルートは、雪が少し融けたら藪こぎになりそうな箇所もあって結構いい加減。帰りは無視するのが正解のようだ(
追記…今回の調査ルートが、2003年から付け替えられた新道になった模様)。
(途中休憩15分×2回)

カムイサンケナイ川の源頭に着いたら右の沢へ。いよいよ前トム平まで大雪渓の登りだ。着けなくても大丈夫だが、少しでも楽をしようと6本爪アイゼンを装着。
半分ほど登ったところで右の登山道に取り付く(アイゼンを外す)。久々に土の感触を味わいながら高度をグングンかせぐ。足もとの草木はまだ冬眠状態で、キバナシャクナゲやコケモモの花も固い蕾。そう言えば、登りはじめてから一輪の花も見ていない。
(途中休憩30分)
尾根からトラバースして沢へ
先行するのは新得町の調査登山隊
沢に降り立つ

沢から前トム平へ
大雪渓を登る
14:30 前トム平。気温5℃。
だんだん雲行きが怪しくなり、やがてパラパラとアラレが・・・先を急ぐ。
登ってきた大雪渓を振り返って 前トム平 左・・前トム平
雪渓の尾根はカムイ天上に続く
ロックガーデンを右上へ トムラウシ公園への下り
遠くには沼の原と石狩連峰が
トムラウシが眼前に
拡大写真
15:30 トムラウシ公園。
夏は素晴らしい日本庭園になるトムラウシ公園も雪と岩だけのモノトーンの世界だった。ここから南沼キャンプ地まで、再び広大な雪渓の登り。
トムラウシ公園も雪の下 最後の大雪渓を登る 南沼キャンプ地に到着
17:00 トムラウシ南沼キャンプ地着。
我が家が着くのを待ちかねたように一気にガスがやって、強風とともに雪が降り始めた。
急いでテントを設営し私は水の確保へ。と言っても全てが凍てついていて融雪水など全く無く、雪をせっせとかき集める。新雪はきれいだったがすぐ下には黄砂の汚い雪があり、必要量を確保するのに結構時間がかかってしまった。
食事の頃には益々風と雪が強くなり、フライシートの風上の箇所は内張りにべったり張り付いて結露がポタポタ落ちてきた。しかしそれも食事が終わってストーブを消すとすぐ凍ってしまい、心配するほどではなくて一安心。まあそれだけ寒いということだったが・・・。
9:00 就寝。
途中何度も、風でテントがあおられる音と雪が叩きつける音で目を覚ました。
5月14日
6:00 起床。晴のち地吹雪。気温−5℃。
前夜の寝不足がたたって寝過ごしてしまった。
テントから外に出ると快晴! 慌ててカメラを引っ掴みビューポイントへ走る。十勝連峰〜芦別岳、日高の山々がクッキリ見え、もうこれだけで大満足。
早朝は快晴だった南沼キャンプ地
拡大写真
標識は頭だけ 登山道も氷の世界
8:30 トムラウシ山頂に向け出発。
今日はトムラウシ山頂〜ヒサゴ沼〜化雲岳の予定だが、この時間に出発では無理かもしれない。朝はあれだけ晴れていた空にも雲がだんだん広がってきた。平地との気温差が大きいようで、これはちょっとマズイな思いつつ登る。
9:30 トムラウシ山頂
山頂についた途端、ガスで何も見えなくなった。しばらく粘ったが状況は変わらず諦めて北沼に向け下り始める。安全なルートを探すが視界が悪くて北沼も全く見えない。気温も一気に下がり斜面はアイスバーン状態に・・・。そのうちアラレも降ってきて、仮に北沼まで下り立ってもこの条件でヒサゴ沼まではとても無理と判断。結局、山頂経由で来た道を撤退。
いざトムラウシ山頂へ
拡大写真
山頂の標識 周囲はホワイトアウト 吹雪の中キャンプ地へ引き返す
12:00 テントに戻り、ほっと一息。
昼食で体を温めたあと一人で南沼が見えるところまで行ってみたが、帰りは正面からの地吹雪で散々な目に。かっちゃんは飛ばされるのを嫌ってテントに引きこもっていたが、それが正解だった。
以後夜中までテントを叩く雪の音は途絶えることが無く、明日に備えて早めに就寝(18時)。
5月15日
3:00 起床。晴れ時々くもり。気温−5℃。
昨日と同じで朝はいい天気!違うところは風が収まっていたこと。強風の中でのテント撤収を覚悟していたので正直ほっと・・・。
食事を済ませテントも撤収し、うっすら新雪が積もったなか近くを散策。南沼は真っ白、空気も凍てつき聞こえるのは風の音だけだった。
日の出を待つトムラウシ
拡大写真
十勝連峰
拡大写真
十勝連峰
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6:30 下山開始。気温−2℃。大雪渓をルンルン気分で下る。
トムラウシ公園への長大な雪渓 怪しい雲が広がる沼の原 トムラウシ公園のシマリスくん
7:00 トムラウシ公園。
登りに取り付いたところで目の前を動くものが・・・シマリスです。ジーッとしていたら向こうから寄って来て、ハイ!ポーズ!でした!
(シマリスと共に30分休憩)
8:25 前トム平。
ハイマツの登山道を下り始めてすぐ、いました・・・今度はナキウサギです。嬉しくてしばらく休憩。それにしても我が家はナキウサギによく会う。確率は大雪山の山行の半分ぐらいかな〜。
(ナキウサギの声を聞きながら30分休憩)
前トム平から沢へ キバナシャクナゲも蕾 ご存知!ナキウサギ!!
長大な雪渓を下り沢に下り立つ。視界も良いしテープは無視・・・尾根に向けトラバースしながら徐々に高度を上げる。寒気が抜けたらしく青空も安定してきた。尾根に出ると、トムラウシ〜石狩連峰〜ニペソツ〜日高と360度の展望。素晴らしい景色の中、カムイ天上まで極楽の下りだ。
途中で調査登山隊のトレースと合流したが、テープのルートは雪融けで笹が塞ぎ始めている箇所もあって当てにならず、自分の判断で下った。
(途中休憩20分)
下りはあっという間 沢からカムイ天上へのトラバース
拡大写真
雪融けでルートを塞ぎ始めた笹原
11:40 カムイ天上。休憩20分。
陽だまりの中、最後の展望を満喫。気温も上がってポカポカだった。
尾根歩きの途中
十勝連峰を望む
ニペソツ山・・・カムイ天上にて
拡大写真
トムラウシ・・・カムイ天上にて
拡大写真
13:10 短縮コース登山口に無事下山。
ヒサゴ沼には行けなかったが素晴らしい展望を満喫できたし、登りと下りが天気に恵まれラッキーだった。ナキウサギとシマリスにも会えたし・・。
雪融けが早いとはいえ少し入山が早すぎたかな・・・次回は6月初めにしようっと。
大好きなトムラウシ温泉で疲れを取り、下山が早かったので一気に札幌へ。
お気に入りのトムラウシ温泉東大雪荘


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